中華バギーとの付き合い方

【8-14.直進安定性に関する「よみさん達」の考察】

このHPの記載内容について実践される場合、全て自己責任でお願いします。愚生およびルナは、一切その責任を負いません。

中華バギーは、基本的にまっすぐには走りません。そのままなら危険な乗り物だと言えます。
グリドラさんが突然閉店されたのも、日本のPL法を考えてのことではないかと、私的には思っています。

それはさて置き、「よみさん」から、それらを考える教材、すなわち直進安定性に関する情報をご提供いただきました。

僕としては、絵を添えたかったのですが、老人は目が弱いので、キャドなんかとは付き合えません。
そのうち、ご要望があれば、手書きでアップしましので、しばしお待ちください。m(._.)m

【以下、「よみさん」からの情報です】
ATVの「直進性」に関るジオメトリーについては、ほぼ四輪のそれに準じるといっていいと思います。
直進性ばかりではありませんが、主だったものは以下のとおりです。


KPI(SAI)
前輪の操舵軸(仮想のそれも含めて)が、車両前方から見て傾斜している角度で、ハの字になっていれば車重がハンドルの復元力となりますが、これが逆さまだと左右どちらかを向きたがる怖いハンドルになります。
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これはグリドラBZでは問題ありません。

キャスター角
前輪の操舵軸(仮想のそれも含めて)が、車両側方から見て傾斜している角度で、後傾する程に転がり抵抗がハンドルの復元力となりますが、これが垂直に近いと復元力は得られず、前傾していると走行時に左右どちらかを向きたがる怖いハンドルになります。
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元々のグリドラBZではある程度ついていますが、BLUESTRTさんの車両のようにお尻が上がってメインフレームが前傾していると、キャスター角も逆傾斜になってしまっている可能性もあります。

スクラブ半径
車両前方から見たキングピンの延長線が路面と交わる点と、タイヤの接地中心との距離のことで、この距離が離れるほどに転がり抵抗や路面のからのキックバックでハンドルが振られやすく、また操舵抵抗も大きく重いハンドルになります。最小は0(ゼロ)。
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マイナスオフセットの大きいホイールの場合、スクラブ半径は大きくなりますが、デザインやサイズ、材質、精度などを自由に選べない中華バギーではある程度やむを得ない部分です。ただ、スペーサーなどで前輪のトレッドをむやみに拡げるのは避けたほうがいいという程度でしょうか?

バンプステア
サスアームとタイロッドの半径や回転軸の違いから、前輪のサスペンションが伸縮する際に、ハンドルを固定していても舵角が変化する現象で、ギャップ通過時の「横っ飛び」の原因といわれているもの。サスが沈んだときに前輪が内側に切れるのが「バンプイン」、外側に切れるのが「バンプアウト」。
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0(ゼロ)が理想ですが、ストローク全域で0にするのは基本的に無理です。使用しているダンパーユニットでのストローク範囲に限定して調整するもので、前方から見たタイロッドの取り付け角度を座金などを入れて調整しながら探り出します。
個人的にはATVは若干バンプアウトのほうが自然な感じがすると思っています。

トー角
車両を上から見たときの、左右前輪の平行度で、前端が閉じていればトーイン、開いていればトーアウトと言い、クルマではトーインが一般的。
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前輪周りのガタで、走行時にトーアウト方向へ力が掛かるので、若干のインか0にして様子見でしょう。前輪前端と後端のトレッドをメジャーで測れば判ります。

アッカーマン比
ステアリングステム⇔タイロッド⇔ナックルの構成により、操舵した際の左右前輪に舵角の差をつけることを言い、車両の旋回中心に合わせるため内輪の舵角を大きくする。
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デフ車でなければ、ATVでは気にしてもしょうがないかもしれません。(^^; 舵角を大きくしようとして、ステアリングステムのジョイント位置を伸ばしたりすると、極端に角度差がつきすぎることがあります。

セットバック
前車軸と後車軸の平行度を言い、これが傾くと「カニ走り」状態になる。
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というか、スラスト角として影響が出ます。タイヤにも負担が大きいので、きちんと調整すべきですね。チェーンの張りを調整する際に、リヤシャフトの向きも厳密に出すべきですが、…私はいい加減にやってます。

ツイーク調整
そのほかに、ラジコンなどで見かけることの多い「ツイーク調整」というのも興味深いです。
要は4輪の接地圧に不均等が出るようなフレームのねじれ、あるいはサスの左右差が無いかの確認です。
バランスが崩れていると実質的には三輪で走行しているような状態となり、加減速時に左右のどちらかに振られやすい傾向を示したり、左右の旋回性に大きな差が出たりします。


それと、これも直進性とは意味合いが違いますが、中華のタイヤは肉厚が滅茶苦茶な場合が多く、手で廻すときれいに回転して見えても、実際に走り出すと上下に暴れだすタイヤがあります。
私の買った鉄ホイール付きのイノーバ”風”8インチタイヤ前後4本セットがそれで、あまりにも走行時の振動がひどく、結局同サイズの本物イノーバに履き替えざるを得ませんでした。
アルミホイールも似たようなことがありますので、P.M.Gさんのバランス取りの記事を参考に、一度確認されたほうが良いかもしれません。

 【2013年9月29日】 Dさんからのメールを転載。

はじめまして
〇〇県からDと申します。(すいません、管理者(P.M.G.)の方で匿名にさせていただきました)

youtubeからブログに飛んで数日前から拝見させていただいて、大変参考にさせていただいております。
当方、四輪レース業界に何年かいたので感じるところがあり、メールさせて頂きました。
アライメントにだいぶ苦労されていたようなので。参考にして頂ければ幸いです。

【サスペンス、アッパーアーム、ロアーアームからなるダブルウィッシュボーン構造を持つフロントサスペンション、またコントロールアーム(タイロッド)による操舵機構に関する考察】

基本的にはアームというのは動くたびに円運動を行いその先に付いているナックル(アップライト)の角度を変化させてしまいます。
このことはブログでも紹介されていましたが、サスペンションが走行中に無駄に動いてしまいトー変化させてしまいます。

可能性ですが、アーム類ピボット部締め付けについてですが、ゴムブッシュが圧入してあると推測されます。
ゴムブッシュはジャッキアップ時に締め付けるとその状態がニュートラルで固定され着地して自重がかかりサスペンションが沈むとアーム類も動きブッシュが捻れます。

そうするとゴムブッシュは元の角度に戻ろうと車体をジャッキアップしていた位置に戻そうと力が働きフワフワしたサスペンションになります。つまり無駄に動いてしまうことになります。

レース業界ですと「1Gをかける」とか言いますが、アーム類ピボット部のブッシュの締め付けは自重をサスペンションにかけて締め付けると対策は可能です。

また自重に対して乗車定員重量の割合が大きいバギーですと+定員重量をすればいいと思われます。つまり地上に降ろして誰かに乗ってもらって締めるってことです。

あとジャッキアップから降ろしてそのままトーを調整しても意味がありません。
アームの円運動とタイヤのグリップの関係上、車体を前後させてサスペンションを馴染ませてからでないと正確なトー測定はできません。
ジャッキアップ時はフロントタイヤ間の距離は短くアームが地上に平行になるにつれその距離は広くなります。

ジャッキから降ろしてそのままだとタイヤが突っ張って正確な車高まで落ちてきていません。
車体を前後させれば正確な車高位置で落ち着くのでその時にトー測定をすれば正確に測れます。

あとは水糸等による四輪アライメント測定などありますが、これは私の稚拙な文章では説明しきれないので、気になりましたら図を書いて説明させていただきます。

サスペンションは奥が深いです。それでは失礼させていただきます。m(_ _)m

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