中華バギーとの付き合い方

【必ず始動するエンジンのかけ方】
要するにエンジンの気持ちになれば良いわけです。すなわち最適混合比となる比率で、燃料と空気を適切に供給すればエンジンは必ずかかります。

(女性を落とすのに、彼女が望むものをプレゼントすれば、「あら、すてき!」と一発やらせてくれるのと、基本的には同じ理屈です)

ただ、やっかいなのは、その最適混合比(女性の好み)が、気圧や気温、エンジンの温度などで微妙に変化することです。それを克服する方法は以下の通りです。

【1】使うのは写真ナンバーの1〜4の部分です。[1メインスイッチ]、[2キルスイッチ]の説明は省略します。どちらもONになっていることが前提です。その後はエンジンが始動するまで扱うことはありません。


【2】まず、[3アクセル]を2〜3回あおります。アクセルをあおるのはこの最初の1回だけです。以降この操作は絶対しないで下さい。アクセルをあおると、ルナは急加速を指示されたと思い、生ガス(液体のままの燃料)をシリンダーに送り込みます。何回もあおると、ルナのシリンダ内がビチョビチョに濡れてしまいます。混合比が極端に高く(濃く)なるということです。これでは絶対に始動しません。

【3】[4チョーク]を引いて(上にあげる)、セルモーターを回します。この時アクセルはほとんど閉じています。(マシンの性格によっては1/10程度若干あけた方がいい場合があります)アクセルを閉じ、かつチョーク(日本語では「窒息」です)することで、エンジンの低い回転数でも負圧が高いため、燃料が多めに吸い込まれます。(霧吹きの原理です)
混合比が高い(濃い)状態で最初のスタートを試みます。それでエンジンが始動したら、何も言うことがありません。

【4】始動に失敗した場合、ルナのシリンダ内部はビチョビチョで、最適混合比とはほど遠い状態になってます。ですから次の手順は、シリンダ内部を乾燥させることです。

【5】そのためにはチョークを戻し、アクセルを目一杯あけます。いわゆるフルスロットルの状態です。ここでアクセルをバコバコ回して、あおってはいけません。加速ポンプ(ルナにはありませんが・・・)が作動して、生ガスが更に送り込まれ、ビチョビチョの状態から逃れられません。一気に、目一杯、フルスロットルの位置まで回して固定します。固定したまま手を離さない!

【6】そのフルスロットルの状態(チョークは戻してください)でセルを回します。(どうせ一回すねたエンジンですから、突然始動してレッドゾーンになることはありません)
そうすることで、大量の空気が送り込まれます。エンジンの回転数が少ないため、フルスロットルだと負圧が小さく燃料はほとんど送り込まれません。そうして混合比が最低(薄い)の状態を作り出します。


【7】それで始動しなかったら再度【3】の操作をし、それでも始動しなかったら【4,5,6】、と【3】〜【6】を繰り返します。

【8】賢明な方はご理解いただけたと思いますが、何をやっているかというと、この操作で、最高混合比(めっちゃ濃い!)と最低混合比(めっちゃ薄い!)の間、すなわち、そのエンジンの、その状態での最適混合比地点を、必ず通過させていると言うことです。

言い換えると、【3】〜【6】で両極端の状態を作り出してやれば、エンジン始動に必要な最適混合比となる地点を、必ず、絶対、間違いなく通過するということです。さすれば、エンジンがかからない訳がない!

それでも始動しなかったら、電気系統、燃料系統の本格的なトラブルです。でも、ルナぐらいのマシンだったら、誰でも簡単に直せます。まずは、プラグを観察するのですが、詳細は別途ご紹介しますね。

あと言い忘れましたが、全く最初の火入れの時(処女を奪う時)は、燃料ストレーナー、燃料パイプにエアが混入していないことを確認してください。燃料パイプが不透明の場合、ガソリンタンクから(空気だまりが出来ないよう)緩やかな傾斜を付けキャブに導いてください。空気の混入の有無はストレーナーが半透明ですから、そこで確認できます。

エア抜きの方法は簡単です。ストレーナーやパイプを指ではじいて、エアを排出させます。エアが入っているとそれがショックアブソーバーになってガソリンが吸い込まれません。(ストレーナー内に小さい気泡が残っているぐらいなら大丈夫です)
特に排気量の小さいマシンでは要注意です。シリンダ容量、すなわち肺活量が小さいため、エアを吸い出すことが出来ません。(へたくそなフェラ状態です))

エア抜きが出来たら、キャブの一番下についているドレンねじ(大抵マイナスネジです)をゆるめて、ガソリンが排出されることを確認します。ここから一気にガソリンを排出する事で空気だまりを取り除くことも出来ます。(当然、火気厳禁です。くわえ煙草でやらないこと。)

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